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ヴァノは直登が布団にくるまり眠ったのを確認してから、二階へ上がった。
一階と同じような造りになっている。革手袋を外して、ポケットに突っ込むと、右手に持っていた鞄をどさっと置く。
冷蔵庫の近くまで歩いていくと、中から一本のビールの缶を取り出す。
テーブルに置くと、外套とジャケットを脱いで、椅子の背もたれに引っかける。腰に帯びていた刀は鞘ごと抜いて、壁に立てかけた。
椅子に座り、缶のプルトップを開け、中身を一気に煽った。
酒はめちゃくちゃ強いのだ。浴びるように飲んだことはないが。
一気飲みをして空になった缶を片手で握り潰す。一瞬で潰れたそれをゴミ箱に棄てた後、テーブルに置いてあった灰皿を引き寄せた。スラックスのポケットから、煙草が入った箱と銀色のジッポライターを取り出した。
箱から煙草を取り出すと、口に咥え、慣れた手つきで火を点けた。ジッポライターをテーブルに置き、煙とともにふうっと息を吐き出す。
――とても過酷な人生を送ってきたのは間違いない。あの宝玉を見る限りだが。あいつのことも知れればいいのだが。
そう思いながら、煙草を喫っていた。
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