第一章 悪魔の住処

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 ヴァノは直登が布団にくるまり眠ったのを確認してから、二階へ上がった。  一階と同じような造りになっている。革手袋を外して、ポケットに突っ込むと、右手に持っていた鞄をどさっと置く。  冷蔵庫の近くまで歩いていくと、中から一本のビールの缶を取り出す。  テーブルに置くと、外套とジャケットを脱いで、椅子の背もたれに引っかける。腰に帯びていた刀は鞘ごと抜いて、壁に立てかけた。  椅子に座り、缶のプルトップを開け、中身を一気に煽った。  酒はめちゃくちゃ強いのだ。浴びるように飲んだことはないが。  一気飲みをして空になった缶を片手で握り潰す。一瞬で潰れたそれをゴミ箱に棄てた後、テーブルに置いてあった灰皿を引き寄せた。スラックスのポケットから、煙草が入った箱と銀色のジッポライターを取り出した。  箱から煙草を取り出すと、口に咥え、慣れた手つきで火を点けた。ジッポライターをテーブルに置き、煙とともにふうっと息を吐き出す。  ――とても過酷な人生を送ってきたのは間違いない。あの宝玉を見る限りだが。あいつのことも知れればいいのだが。  そう思いながら、煙草を()っていた。
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