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「…お母さん!今日ね、算数のテストで100点とったんだよ!!」
「あら、凄いじゃない!響生は偉いわね~!」
あれ…?これ……夢?でも…なんで俺が幼い時の夢を今見てるんだ……?
「お母さん。今日ね、この前書いた作文が表彰されたんだ。」
「…そう。」
これは…俺が小学校高学年の時の…。そういえばこの頃からだったっけ?母さんに全く相手にされなくなったのって……。
「ちょっと響生、なんなのこの点数!?89点って…どうしたらこんな酷い点数とれるの!!」
「……ごめんなさ…」
「謝る暇があるならさっさと勉強しなさい!こんなんじゃ一流企業どころか、一流大学に入学することも出来ないわよ!?」
中学生になってからはずっとこうだ。
テストの点数や内申点について厳しく言われるようになった。
いくら学年トップの成績をとれたとしても満点以外は、母さんにとって悪い成績に見えるのだろう。
『全科目90点以上出すのは最低ライン、オール100点が当たり前。』
それが母さんの口癖で、絶対だった。
「あなた。響生…成績下がり気味だし、もう1つ塾に通わせようと思うんだけどどう思う?」
「…それは響生が望んでいることなのか?俺には成績なんて下がってないように見えるけどな。でももし、響生がそう感じてるのなら俺は構わない。響生が望んでいるなら、そうするが。」
「響生ももっと勉強しなきゃって言ってたし、きっとそう望んでいると思うわ。ここの塾にも通いたいってこの前話していたし。」
「そうなのか、分かった。じゃあこれ、塾代。響生の時間が空いている時にでも説明会を受けてきたらいい。」
「えぇ、そうするわ。」
父さんは母さんの話を鵜呑みにし、俺の本当の思いも知らずに新しい塾代を母さんに手渡しした。
俺は…一体何なんだろう?
こんなの…まるでロボットみたいじゃないか……。
こんな過去がなければ俺は…道を踏み外すこともなかったんじゃないか?
もう……よく分からない……。
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