逢魔が時

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この屋上に来たのは何回目だろう? 壁にもたれながら大きくため息をついた。 あなたが好きで。 何度もこの時間にここに来てしまう。 会いたくて。 会いたくて。 会いたい。 その温もりを何度も思い出しては。 一緒に見上げた夕闇をただ見上げた。 夕方のオレンジの眩しい景色から。 闇夜へと変わる瞬間の似つかわしくないパステルパープルのグラデーションを奏でる空が好きだった。 偶然に巡りあえるのを期待して。 逢魔が時に全てをかけたかった。 魔法のように不可思議なことが起こると言われるからだ。 ただ…溢れる涙と逢魔が時の不可思議が重なり合った時。
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