一話 これを人は初恋と呼ぶのだろう

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* 「あああああ! 最高! 最高だったよおおおお! ね? ほのか」 「そうでしょうか。古臭くて絵本みたいな内容でしたけど。ハクバノ王子サマの出る少女漫画なんて、今どきよく映画になりましたね」 「えー。ロマンティックでいいじゃん。夢見たい」 「夢ですよ! 夢! 現実ではありえないです」 「ありえるかもよ? イギリスとか行けば」 「それはリアル王子様ですしお嬢様と恋愛はありえませんからね」 「ぶー……いいじゃん、夢見るぐらい」 「もう少し現実に生きてください。跡継ぎなんですよ、貴女。一人娘なんですよ?」 「うー……考えたくないっ」 (あたしだって好きで一人っ子に産まれたわけじゃないのにっ、理不尽!)  お兄ちゃんとか弟がいれば……はあ。  跡継ぎ代わりにしてくれたんだろうなー。  でもお母さんは身体が弱いからもう子供はうめないんだよね。  だから、あきらめるしかない……仕方がないんだ。  養子をとるのも色々大変だろうし、あたしが婿養子をとるしかないんだよねぇ。あーあ。今からそのことを考えるだけで憂鬱な気持ち。  正直恋愛は怖い。現実の男の子はキモイ。  だって、皆エロイこと考えてるし。
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