一話 これを人は初恋と呼ぶのだろう

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「ああああああああああああああああああああああああ」 「叫ぶ長さを伸ばさないでください!」 「だって……世の中あんまりだよ。理想の顔の持ち主があんなのなんて!」 「顔のいい男に期待するのが無駄なんです」 「そんな夢のないことばかり言わないでよほのか」 「もっと地味で誠実型のほうがお嬢様にあってますよ」 「わかってるよ、それぐらい……でも、エロくない男なんかいないんでしょ」 「……ノーコメントで」 「あーほのか逃げたー」 (やっぱりフォローしようがないんだ……はあああ)  もう、悲しすぎる世界だよ、この世は。  純愛がしたいよ純愛が。  少女漫画のような甘くて切ない可愛い恋愛がしたい。  なのに! 現実はただ残酷でっ! 「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」 「お・じょ・う・さ・ま!」  怒りの声を上げるほのか。  いいじゃん。あたしんち防音なんだから!  あたしは定期的に叫び声を上げながら徹夜で映画のDVDを見たのだった。
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