一話 これを人は初恋と呼ぶのだろう

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「ねぇ、お菓子ちょーだい―ってば!」 「ひっ、追いかけてきた」 「おれ、お腹すいて死にそー……」 「ああもう、お菓子あげるからついてこないで!」 「わかったぁ」 (あれ? 素直?)  え、そこで引くの? と思いつつあたしの持ってるお菓子を手にして真優は満足げに去っていった。 「意味が分かんないんだけど……! ああもう、せっかくの昼休みなのに……! 全然休憩にならなかったじゃないのっ」  あたしはそう呟いて、逃げるように教室へ駆け込んだ。 
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