一話 これを人は初恋と呼ぶのだろう

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「ありがとうほのか」 「お嬢様の髪は長いですからね。二つ左右にお団子作ってもでっかいのができますよね」 「だって、お姫様はみんな髪の毛が長いでしょう?」 「……本当夢見がちですよね、お嬢様は」 「いいじゃん。女の子なんだから。ほのかもメイド服で登校せずにあたしみたいにかわいいフリフリ着ればいいのに」 「動きにくいので却下します」 「えー。絶対に合うのに。目も大きいしまつげ長いし」 「お嬢様ほどではないです。でも、お嬢様はスタイルがよすぎて正直服がかわいそうです」 「……胸がでかくて悪かったわね」 (コンプレックスなんだからほっといてほしい……)  無駄に発育のいい身体は小さなころからのあたしのコンプレックスで。  それを隠したいがゆえに、フリフリの服を着るようになったんだよね。  今は普通にフリフリが好きだから着てるけど、子供の頃はよくからかわれたっけ。 (思い出したくもない……)
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