世界で一番甘くてしょっぱい初恋の話。

一話 これを人は初恋と呼ぶのだろう

　あのくそエロ男子！
　お金持ちなんだからお菓子ぐらい自分で買えばいいのに。
　何でわざわざあたしに絡みに来たのか。

「あー！　思い出すだけでムカつく！」
「お嬢様、落ち着いて……」
「ほのか！　今日は少女漫画原作の映画はしごするわよっ」
「……わかりました」

（気分転換！　現実逃避！　大事！　絶対！）

　あたしはスマホで映画館の上映時間を眺めながら大きくため息をついたのだった。