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 苦しんだ末、ノベルスターズのアカウントもツイッターアカウントも何もかも消去していなくなってしまう人もいる。そうなってしまうと、声をかけることもその人の作品を読んで応援することもできない。  私は何もできないもどかしさを覚えた。そして、顔も本名も知らない繋がりのはかなさを知った。  病にご利益のある神様はいても、小説にご利益のある神様がいるだろうか。調べているうちに、学問の神様として有名な菅原道真は文筆の神でもあると知った。小説を書く人々にご利益がありそうだと思って、あちこちの天満宮を参拝するようになった。  北野天満宮は日本全国にある天満宮の総本社だ。さすがは総本社。大阪や湯島の天満宮とは広さが違う。一の鳥居をくぐり抜けると、広大な梅園がある。もっとも、今は紅葉の季節で梅は咲いていない。  時間があるのだからのんびりと歩けばいいものを、気づけばいつものように歩く速度の上限で本殿へ向かっていた。梅の紋があちこちにある本殿は、初めて訪れたのに親しみを感じる。  いつものように五百円硬貨を入れると、重みのある音が響く。二礼二拍手。私は静かに手を合わせる。
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