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「それでは、明日またこちらに伺いますので」 「よろしくお願いします!」  深々と頭を下げた店長に見送られ、私は軽い会釈を返した。  頑張らなければいけないのは店を運営する彼らだが、客の心に残るものを生み出せるのも彼らだ。スーパーバイザーとしてどれだけ仕事を頑張っても所詮私は裏方で、あとに残るものは何も生み出せない。  私の人生は何も残せない人生だ。  携わった店が潰れるたびにそう思っていた。現在四十二歳で独身の私は、自分の子孫も世に残せそうにない。  何かを作り出して世に残せる人生を、心底羨ましく思う時期もあった。  
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