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大きなプロジェクトを終えたご褒美に、有給休暇を取得した。東京駅から東海道新幹線に乗り、一泊二日の旅行へ出かける。荷物が少し重いのは、ノートパソコンのせいだった。
新幹線が動き出すのと同時にスマホを取り出し、ツイッターを開く。
“今日は有休をとって、これから京都に向かいます! 旅行先で小説を書いてみたくてパソコンも持ってきたから荷物が重いw
文豪気分を味わうためにホテルじゃなくて旅館に泊まります!”
ツイートボタンを押して一分も経たないうちに、梨々さんからいいねが届く。ほどなくリプライもやってきた。
“いってらっしゃい! 文豪気分、満喫してくださいね〜”
その返信を見て、思わず口元が緩む。
家族にも友人にも話したことはないが、私は小説を書いて小説投稿サイト「ノベルスターズ」に投稿している。
小説投稿サイトなんて十代や二十代の若者が使うのだろうから、四十代の私は片隅でひっそりと書いているつもりだった。私が書く小説はノベルスターズで人気の過激な恋愛小説でもBL小説でもないので、誰にも読まれないだろうと思っていた。
その状況を打ち破ったのは、一人のユーザーから届いた感想だった。
“ノベルスターズで正統派純文学が読めるなんて驚きです!”
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