安心感

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 炊事場の土間を上がって直ぐの一室が私の部屋として与えられている。 そこにお布団を敷いて、肌着一枚にして宗太を寝かせた。 「うん、流行り風邪だろうね。熱は高いが元気そうだし、うまくすれば明日にはケロリと治っているかな。しっかり栄養を取って、大人しく寝ていなさい」 ご隠居さんは宗太の頭を撫でて、私を見遣った。 「急変したら面倒だから、このまま今日はここで預かってあげなさい。なっちゃんにうつっても可哀想だしね」 頷きで返して、宗太に告げる。 「宗ちゃん、今日はここでお泊りできるかな?」 宗太は不安げに私を見上げた。 「ユキちゃんと一緒にねんねする?」 「ん、一緒だよ。お父さんはいないけれど、大丈夫?」 ぱぁっと、華やいだ顔をして宗太は頷いた。 「宗ちゃんのお粥さんを作って来るから、待っててね。椎茸も刻んでたっぷり入れてあげるからね」 宗太の頭を撫でながら、今は眠るように促した。  宗太が熱を出したと聞いて、慌てて訪ねて来た善次郎さんに、私は手短に容態を説明する。 「ご隠居さんも言ってくれているので、今夜はここでお預かりさせていただきますが、構わないですか?」 これでもかつては医師であるご隠居さんの助手として働いたことのある身だ。安心してくださいと、胸を張った。 「はい、すいませんが、その方が俺も安心です」 「私は食堂の切り盛りがあるので、それまではお願いします」 予めお願いしておいた宗太の着替えの風呂敷を受け取り、私は中を確認する。指示した通りに多めに肌着が入っていることを見て取り、汗を掻けばこまめに着替えさせるように告げた。 「食事は嘔吐することもありますから、無理強いはしないでください。ご飯は食べられる量だけでいいですが、水分補給はこまめに与えてください」 善次郎さんは頷き、宗太のお膳を持って私の部屋へと上がって行った。
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