Voice(声) 

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 霜の降りる身の凍るような真夜中のこと、麻薬の取引で数人の男たちが路上で激しい言い合いをしていた。それはしばらくすると取引が成立せず撃ち合いとなった。そこへ銀の大鎌を持つ一人の男が現れそれぞれ首を狩っていった。真っ白な雪の上に真っ赤な血液が舞い落ちる。    次に銀の大鎌を持った男は次の収穫の場へと向かった。  街が吹雪になってきた。ホワイトシティ全てが白く凍えてきた頃、凍結した大きな橋の上を一台のトラックが走っていた。  荷台の中は、空っぽで、運転席から後部座席まで武装した数人の男がいる。  どうやら、トンプソンマシンガンを装備した銀行強盗のようだった。  それは、ホワイトシティのヒルズタウンという場所へと向かっているようだ。  しばらくすると、ホワイトシティで五本の指に入る大きな銀行。ギャラクシ・シティ銀行が見えてきた。 「おいおい、なんだあいつ?」  運転席の男が前方に、橋の上のど真ん中で、突っ立っている一人の青年の方を見た。青年は、まるで凍てついた空気と吹雪とに同化しているかのように、一切動かなかった。 「構わねえ。轢いちまえよ。頭おかしいんだよ」 「?! あ、あれ?!」  後部座席に座っていた一人の男が、その時気が付いた。そして、一瞬目を疑った。いつの間にか、運転をしていた男の首が無くなっているのだ。  トラックは、ハンドルを操作するものを失い。徐々にそのスピードを上げ、ギャラクシ・シティ銀行とは関係のない道を走り出した。  慌てて、助手席にいる男がハンドルを掴むが、今度は、その男の首がずるりと落ちた。一人、また一人と、武装した男たちの首がぼとぼとと落下していく。  とうとう、トラックの中は血塗れの死体だけとなった。  トラックは急に、タイヤを何かで切断され、橋を突き抜けて川の上へと飛び込んだ。  
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