445人が本棚に入れています
本棚に追加
『日下さん、それでですね。―――が……で……』
夜、多岐と通話していた。
いつものように優しい声。
いつものように語られる日常。
語られない愛情…。
「…………」
『――――どうしました?』
「――――やだ」
俺以外と頻繁に会わないで……っ
『日下さん?』
好きって言って……っ
「会い、たい―――ひっく…っ」
電話口でゴクリと喉が鳴ったのが聞こえた。
『今から行きます。いいですね?そのまま家にいてください』
そう言って通話が切れた。
真っ暗になったスマホの画面を見つめて涙が零れた。
やだ……やだよ……。
最初のコメントを投稿しよう!