ミクの落とし物

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 「ミク、散歩行こ〜」  ウトウトとまどろんでいたら、お姉ちゃんがリードを片手に声をかけてきた。私は跳ね起きてお姉ちゃんの元へ、ウサギちゃんのぬいぐるみを持って走っていった。赤色のリードをつけてもらって準備完了! 「ミク今日はウサギちゃん持ってくの?」  そうだよ。私はいつもお散歩の時、お気に入りのおもちゃを持ってくんだ。 テンションが上がるし、お姉ちゃんや道行く人は『かわいいね』って言ってくれるんだもん。 「ふふっ、ミク可愛い」  ほらね? 私は得意げに胸を張ってお姉ちゃんと一緒に外に出た。  今日はお散歩どこに行くのかな? そう思ってお姉ちゃんを見上げると、にっこり笑って「公園行こうか?」と言ってくれた。  嬉しいなぁっ! お友達のアルくんやミコちゃんに会えるかな?  私はウキウキしながら尻尾をパタパタと振った。 *  公園についてすぐ私は原っぱへ向かった。  案の定、おもちゃを持った私を見た人は、みーんな『かわいい』って言ってくれる。でしょ? ミク、可愛いでしょ?  原っぱをお姉ちゃんと歩いていると、アルくんの姿が見えた。一直線に走っていく。 『おーい、アルくん〜!』  ワンッと鳴いて声を掛けると、アルくんもワンッと鳴いて走って来た。  アルくんは私と同じ《ミニチュアダックスフンド》で、クリーム色だ。私はアルくんより少し毛は白いけど、よくそっくりだねって言われる。ミニチュアダックスフンドって言うのは昔、《リョウケン》だったらしい。ソセンはホラアナに潜って狩りをしていたんだって。  穴に潜っていたせいで、ソセンはタンソクに進化したのかな?   よく私は『タンソクだね、可愛い』って言われる。タンソクが何か分からないけれど『かわいい』って言われるからいいことなのかな? 『ミク! 久しぶりじゃない?』 『うん、最近お姉ちゃんが忙しくて近場ばっかだったの』 『そうなんだ。僕んちは一日ママがいるからお散歩いっぱい行けるんだ』 『いいなぁ』 『エヘヘ、いいでしょ? そう言えば、ミコは今旅行行ってるらしいよ』 アルくんは得意げな笑顔を浮かべて言った。 『どこ行ってるのかなぁ?』 『うーんとね、ヤツガタケって言う所らしいよ。ヒショチなのね、って僕のママとミコのママに言ってた』 『ふーん』  そんな話をしていると、アルくんのママが声を掛けてきた。 「ミクちゃん、おやつ食べる?」  もちろんだよ! 私は尻尾を振った。 「ミクちゃんいい笑顔ねぇ。はいどうぞ』  パクッと食べる。ささみチップスだ! 嬉しいなぁ。  私がおやつを食べてる間アルくんはお姉ちゃんに甘えていた。本当は私のお姉ちゃんにスリスリとかチューするのは許せないけれど、おやつもらったからまぁいいか。  その後私たちはしばらくお喋りしてバイバイした。 4f703ffe-e6a4-4a89-baeb-99c845e042e4
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