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う、う、う、うそ!? 私は家に帰ってからあぜんとした。
ない、ない、ないの! 私のウサギちゃんが……
前にお姉ちゃんが『ヒャッキンで買ったから安いよ』って言ってたけど、嫌なの。あのウサギちゃんは世界に一個。安くていっぱい買えるのはいいけど、あのウサギちゃんは特別なのに……
いつ、落としちゃったかな……? 私は小さな頭をフル稼働させた。
「ミク? ボーッとしてどうしたの?」
お姉ちゃん、ごめん。今、ミク忙しいから……
数分後。私は目を大きく開いた。
「ミク起きた?」
……ミク寝てないし。そう思ったけど、それどころじゃない。アルくんと挨拶した時落としちゃった。どうしよう。公園私だけじゃ行けないよ。
私は必殺・うるうる瞳をしながらリードを咥えてお姉ちゃんのもとへ行った。これで散歩連れてってもらおう。
「ん? ミク散歩行ったでしょ?」
でもぉ……お姉ちゃんはフフフっと笑って私を抱っこした。
「もう暗いからまた明日ね。さ、ご飯にしよう」
ご飯!? 食べる!
『ご飯』と聞いた瞬間、ウサギちゃんのことは少し忘れちゃった。
*
ふわぁぁ……私は大きくあくびをした。お腹いっぱいで眠い。
ベットにいつも通りウサギちゃんを持ってこうとした時、いないことに再び気づいた。でも、もう遅い。お姉ちゃんはさっき『八時だよ』って言っていたもの……
私はウサギちゃんを泣く泣く諦め、夢の世界へ旅立った。
*
翌朝。伸びをしながら起きると、ピンク色のおもちゃが見えた。
これは……ウサギちゃん!? 一気に目が覚める。
確認しながら咥えると確かにウサギちゃんだった。でも、いつの間に? ウサギちゃんを持ったままいつも通りにお姉ちゃんの部屋に向かった。お姉ちゃんは朝弱いからミクが起こしてあげなきゃ! お姉ちゃんに部屋に行くと、驚くことにお姉ちゃんは起きていた。
「おはよう。ミク。おっ、ぬいぐるみ気付いた? 実はね、昨日ミクが寝た後ウサギさんがいないことに気づいたんだ。原っぱに落ちてたよ。ミク、もう落としちゃダメだよ」
お姉ちゃん私が寝た後取りに行ってくれたのかな?
お姉ちゃんありがとう! ミク気をつけるね。
お姉ちゃん、大好きっ!
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おまけ。
ウサギさんにもなります。
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