ある昼と夜の狭間

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 サティ:何か面白いものでもあった? 「見てて思ったんだけど、昼と夜ってどっちが本当の世界だと思う?」  私の発言に、サティの頭上に「?」が浮かんだ。  サティ:どっちも本当じゃん??  千佳:そうなんだけど、どっちが普通の状態なのかなって。メインというか。  また「?」が出た。自分でも変なことを言っている自覚はあるから苦笑するしかない。  サティ:分からん。ちかちゃんはどう思うの?  千佳:私も分かんない笑 ただ、心のどっかで明るいのが普通だって思ってたかも知れない。でも昼だと星は見えないし、明るい世界が全部じゃないのかな、と。  サティ:なる。宇宙基準だと暗い方が普通か 🌟 「そういうことじゃないんだけどね」  音声入力を切ったのでこれはただの独り(ごと)だ。まあいいかと思っていると、左耳の方からゴトゴトという大きな荷車が近づいてくるような音がした。  それは(おり)だった。台車に載った真四角の木の檻を――と言ってもCGなのだが――、4人のキャラクターが動かしていた。ギターの調べに合わせて、ゴトゴト、ゴトゴトと檻は進む。  一行は私達のいる橋を通った。檻の中には微笑みをたたえた通常顔のアバターが1人。  目が合った気がした。  その男の子キャラクターは片手をブンブンと振って、振り終わってからもう一度ブンブンして、何を考えているのか分からない顔で運ばれていく。  
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