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僕の瞳の先に
現在僕は人生の岐路に立っている。
幼くして両親を亡くした僕は親戚の家を転々とし、高校を卒業すると一人暮らしを余儀なくされた。大学に行かず職を探すもこの不景気真っ只中……就職先が見つからず、どこにも居場所がなかった。
今日受けたバイトの面接も落ちた。これで何度目だ。その内親戚名義で借りたアパートも追い出されてしまうだろう。
最近完成した高層ビルの上で空を眺める。
親もいない。友達もいない。彼女もいない……いたことなんてない。頭の回転も悪く運動も苦手。天は二物を与えずって良く聞くが、一物さえ与えられてない。……取り柄って何ですか??
何もない僕にこの先何を期待したらいいのだろう。人生に不安が纏わりついている。居ても立ってもいられなくなる恐怖感。悪魔に魂を売って契約でもしたいくらいだ。実際に悪魔がいればね……。
「来世はイケメンで可愛い彼女が出来ますように」
息を吐くようにぼそりと口に出した僕は、高層ビルの屋上から空中に足を踏み出した。
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