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彼女の姿
適当な店で近場の学校について聞いて来てみると、丁度下校時刻と重なっていてたくさんの生徒が校門から出てきていたのだが……。
「女子校……かぁ」
「女子校じゃマズイの??」
「いや……いいんだが、むしろホシノの学校なら万々歳なのだが制服が明らかに違う。つまりのこの女子校で情報を聞かなければいけない。男の僕が、女の子だらけの花園に潜入……これは何かマズイ気がする」
校門近くの木の陰にいた僕はセーラー服の女子高校生たちに指をさした。
「話を聞くだけなのにマズイの?? ……じゃあさ、女の私が情報を聞いたらマズイ気はする??」
「……そうだよ、そうすべきだろ。本来はそうだ。制服の事を聞くのだからホシノがいないと話にならない。僕が説明したら変に思われる」
ホシノの申し出に僕は顎に手を当て早口でぶつぶつと呟く。すると、ホシノが急にスッと足を踏み出すが、僕はその手を掴み歩みを制止させた。
「だがホシノだけが行ってどうする!? 何て言うつもりだ?? 『この制服の学校どこ??』ってその制服着てるお前が言うか?? という話だ。きっと後ろ指差される。頭おかしいと思われるに決まってる」
「ひ、ヒロくん……??」
「じゃあどうするんだって?」
「いや、何も言ってないけど」
ホシノを元の位置に戻し、再び木の陰から学校を覗き込む。
「ブレザーに付けてる校章のピンズ。それを持って僕が聞きに行く」
寄越せと言わんばかりにホシノの胸元にある校章を指すと、彼女は言われたとおりにそれを僕に差し出した。
「だが一人で行くとただの変質者を勘違いされるかもしれんので、ホシノもついてきてくれよ……後ろからで構わんので」
「あ、はい」
その返事を聞いた僕は校門から出てくる女子高生へと向かっていった。
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