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美紀がそうした不安に囚われるのも、全ては自分の三十二歳という年齢が原因になっていた。夫は五つ年上の三十七歳。働き盛りの夫からすれば、今の生活は充実したものと言えるかもしれないが、そうしている間に失われていく自分の女としての価値を、意識せずにはいられない。
「あれぇ。財布どこやったかなぁ」
朝食を食べ終え仕事の準備のために家をうろうろとし始めた夫を見つめながら、美紀は思う。
このままではいけない。何とかしなければ。
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