アメリカ留学 1

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 一通り奇妙な動きが治まると、男性は雷亜を指差し怒鳴った。 「おい!お前!なんだ、その体!!可愛い顔して脱いだらそれってヤバイだろっ!何かスポーツでもやってたのか?!」 「い、いえ……、特に……」 「嘘をつくな!上腕二頭筋や腹筋、三角筋まではっきりしてる奴が、体鍛えてないわけないだろ!」 「ええ、まあ……、父が死ぬ前までは父のトレーニングに付き合ってました。ただ、それだけですけど……」  武道は一般的にスポーツに入るのだろうか?  そんな疑問が脳裏を過りながら、雷亜は受け取ったブルゾンに袖を通した。  その間も目前の男性はジロジロと雷亜の体を見てくるので、何だが落ち着かなかった。 「そうか、そうか、トレーニングで鍛えたのか。いい体してるなあ。やっぱ好みだわ~」  と、にやけながら雷亜の腹に触れてきたので、ひゃあー!と変な声を出してしまった。 「な、な、何をするんですか!変なところ触らないで下さい!」  別に腹を触られるのが駄目という訳ではない。触り方がなんだか妙で寒気がしたのだ。 「いいじゃねえかよ、別に減るもんじゃねえし」  今度は馴れ馴れしく肩を抱いてきて、上から、「ほお、乳首もピンクで小さく可愛いんだなあ」なんて言われ、慌ててブルゾンのジッパーを上げた。  雷亜はキッと男性を睨み付け、 「上着を貸して頂けたのは有難いのですが、人の体をまじまじと見るのは失礼ですよ」  と、言ってやった。乳首の色までじっくり見られるのは流石に恥ずかしい。  そして、雷亜は不意に大事な事を思い出した。 「あ、そうだ!こんなことしている場合じゃない!遅刻だ!!」  慌てて自転車に股がり、 「あの、明日も同じ時間、ここを通りますか?」  と、訊いた。ブルゾンを返さなくてはいけない。 「おっ!もしかしてお前、留学生か?」 「はい。この先のサウス・マウントユニオン高校です」  目の前の男性が指を鳴らした。 「ナイス!俺もそこの生徒だ。俺の名は王宇辰(ワンユーチェン)よろしくな!」 「え?」  ──この人、同じ学校?!
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