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走り出すこの足がある、ただそれだけでいいんだ。
「で?」
卒業式を終え、クラスの卒業パーティーが始まるまでの小一時間を、親友のミズキと馴染みのカフェでまったり過ごしていたが、いつも通りに何も変わらずお気楽な話題で盛り上がっている私に、さすがのミズキもため息まじりに切り出した。
「ん?」
「いや……だから、結局あんた進路何も決まってないよね?」
「あぁ、うん、卒業式も終わったから、いよいよあたしは絶賛ニート開催中だよ!」
「本当にお気楽ね……」
「だってさぁ、あたしそんなに頭も良くないし、親とか先生とかに色々言われても、ぶっちゃけ何言われてんのかさっぱりだったし、理屈で考えてもしょうがないと思うんだよね」
カフェラテを上品に一口ずつ口へ運ぶミズキに対して、音を立てながら一気にタピオカを吸い上げる私。
ミズキは実家の和服店を手伝うことが決まっていて、さらには今すぐでは無くともたぶん彼氏のリオとの結婚も決まっている。
成績優秀で顔もスタイルもいいミズキと、諸々そうでも無いあたしはなぜか親友で、そのミズキは大学にも進まず都会にも出ず地元に残る。
あたしはまだ、何も持ってない、何も見付けてない、何も決まってない。
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