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「そんなことないわよ。お母さんも普段抱っこ出来ないからきっと喜んでしてくれると思うわ」
凛子はそう言って柔らかく微笑んだ。
今回お宮参り予定の田森神社は、歴史の古い神社だった。何らかの行事、例えばお祭りやお籠りの時など、村人が集まることの多い場所である。
義母は、月に一度は婦人会からこの神社に掃除に訪れていた。いずれは凛子がバトンを渡されるであろう。
そこの宮司は義父の知り合いで、よく家にも来る。義父の友達のような存在だった。今回のお宮参りの件も嬉しそうにおめでとう、と言ってくれ、準備を快くすすめてくれている。
お宮参り当日のお昼ご飯は、家でみんなで食べることになっていた。
有名な仕出し屋さんへ予約も入れてある。
準備万端だ。
この子が産まれてくれてどんなに心が安堵したか…。本当に神様に感謝したいと凛子は思った。
そして、退院してからというもの、義母さんは我が子以上に幸人を可愛がってくれた。凛子がご飯を作っている時も、買い物に出る時も常にみてくれていた。……これはおばあちゃん子になるな、と思うが、仕方がない。
同居とはそういうものなのだ。
たくさんのお祝いもいただいた。
その内祝いに明け暮れる週末もありながら、凛子たちはとうとうお宮参り当日を迎えたのだった。
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