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『凛子さんが悪いんだよ』
『まあ、それはそう思うけど…』
あれから1週間、凛子はずっとその二人の会話が頭から離れないままでいた。
私が来てからこの家が変わった、と言っていた。
聡も…変わった?
それは全て自分のせいで悪者なのか?負い目を感じる日々が続いていた。
そしてそれは産後の授乳期とも重なり、凛子を不眠症へと追い詰めていた。
どうして自分はこんな所へいるんだろう?
どうして同居しないといけないんだろう?
人生ってなんのためにあるんだろう?
果てしなく答えの出ない疑問が毎日凛子を蝕んでいった。
姫子はともかく、義母は違うと思っていた。人生の先輩として、自分の立場を理解してくれている人だと思っていた。
……ひょっとして聡も揃って影では悪口を言っているんじゃなかろうか?
ここの家族はみんな自分の事を疎ましく思っているんじゃないだろうか?ただ、長男を産むため、育てるために必要なだけで、誰も私のことを個人として理解なんてしてない。
「嫁」であり、1人の人間ではないのが現状なんじゃないのか?
それはとても凛子を孤独へと貶めた。
孤独。
それは、一人でいる時のものとは比にならないほど、家庭の中で感じる孤独は耐えかねるものだった。
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