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入院の1週間はあっという間にすぎ、凛子は赤ちゃんと共に家に帰った。
部屋がひとつ増え、改めて新しく生まれた命を皆で喜んだ。
そしてある晩のこと、聡が珍しく凛子と2人きりになった部屋でこう切り出したのだ。
「あのな、凛子、俺……ちょっと気になってることがあるんだ」
なんだろうとおもう。
「……姉貴のことなんだけどさ、最近ここに来ないだろ?」
……言われてみればそうだ。
凛子はあまり気にしていなかった。きっと赤ちゃんに嫉妬でもしているのかしら?なんて思っていたとは口が裂けても言えない。
「それでさ、ちょっと気になる噂を聞いたんだよ」
「噂?」
おかしげなことを言い出す聡に初めて真剣な目を向ける。
「……こんなこと凛子にしか言えないんだけど、姉貴を見かけたっていう奴がいてさ。そいつ、俺と同じ会社で働いてる奴なんだけど……。ある知人と親しげにしてる所を何度も見たって言うんだよな。」
それで?となる凛子。何が言いたいのか?
「……その知人、結婚してる奴なんだ。」
凛子はピンときた。
なるほど。姫子さんが既婚者と付き合ってるんじゃないかと言いたいわけね?
「……不倫してるんじゃないかってこと?」
「ん。姉貴は性格上あまり深く考えてないかもしれないけど、既婚者と親しく…ってあまりどんな関係かまだわからないけど、おかしいだろ?」
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