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「こんにちは。今日はどうもー……」
「遠いところからありがとうございます。」
と会話が聞こえる。
静かに座ったままの義父。
凛子は幸人をぎゅうっと抱きしめた。
「凛子さん、ご両親来てくれたね」
後ろで姫子の声がした。
ギョッとなる。
姫子は何事も無かったかのようにそこにいた。
「私、そこからベランダに出て隠れてたの!」
そう言いつつテヘペロなんぞしやがった。
「ひ、ひひ、姫子さん……っ」
凛子は幸人に力を入れたまま後ずさる。
こんなこと、ホラーでしかない。
「凛子、ひとまず俺たちだけで行こうか」
「私はここに残るわ。だから行ってちょうだい。玉串料持った?」
義母は凛子にだけ分かるように小声で
(床が汚れてるから綺麗にしとくわ)
と囁く。よくみると、先程の件で輩が上がり込んできた時に泥がちらばったらしい。
こんなところを見せられないから早くも聡と神社へ行け、という事なのだろう。
「はい。わかりました。行ってまいります」
凛子はしおらしく返事をすると、聡と両親とともに神社へ向かうべく玄関へむかったのであった……。
◇◇◇
さて、取り残された3人である。
「姫子、あなたこれで何度目なの!またやらかしたの!? 」
「だってぇ、たまたま好きになった人が既婚者だったんだもん」
「前のことで懲りたはずでしょう!お願いだから、ねえ、やめてちょうだい」
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