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義母は顔を両手で包み込みながら はあ〜と盛大なため息をついた。
「あのさー、単なるお友達なんだよ? そんな、不倫じゃないって。みんな勘違いなの」
「友達ってどんな?」
じとっと睨む義母。
「んー……旅行行ったり?ランチしたり?」
「バカ!どこに男女ふたりで旅行に行く友達関係があるのよ!やましくて話になりゃしない!こんな田舎でみんなに聞かれてたと思うと……恥ずかしいったらっ!!」
義母はそれきりバンっと机を叩いて黙り込んでしまった。
それを上目遣いでみる姫子。
そしてだし抜けに言った。
「……凛子さんが悪いんだよ?」
「凛子さん?どうしてあの子がでてくるのよ?」
「彼女が来てから変わったよ。うち」
「……。」
「あの人が来てから聡も変わった。だからそれが悔しくてさ、なんか、寂しくてさ」
「姫子……。」
「お母さんだって我慢してるでしょ?本当は自分でいろいろとやりたいのに。優遇されすぎなんだって、嫁のくせに。」
「それは、そうは思うけど……」
義母がそういった時だった。
「おい」
義父が一言発する。
それに反応して後ろを振り返る2人。するとそこにはリビングに入る手前で立ち尽くす凛子の姿があった。
「り、凛子さん!どしたの!」
「あ……忘れ物、しちゃって。……すみません、行ってきます」
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