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「僕は政宗さんとずっと一緒に居ます。颯馬さんのことを言わなかったのは、僕の中で本当に終わったからです」
「………アイツはお前をまだ諦めてないみたいだけどな。この場所も突き止めたみたいだぞ」
「どういうことです?」
颯馬が人を使って圭を取り戻そうとしていると聞いて、圭は驚いて目を見開いた。
今日会った時、確かにまだ話したそうではあったが……。ここから連れ出そうと計画しているとは。
「簡単に渡す気は無いが……圭はアイツのところに戻りたいのか?」
「戻りたいも何も……。確かに颯馬さんに抱かれたことはありますけど、一度だけです。あの一度で終わりと思ってますし、戻る気はありません」
借金の件で政宗から離れられないというだけではない。
そもそも、颯馬は大会社をいずれ継ぐ男だ。
結婚して後継を作らないといけない。だから意に沿わなくてもお見合いを繰り返していたのだ。
「颯馬さんと、どうにかなることは本当に無いんです。僕を連れ戻したところで……あの人は女の人と結婚して会社を継がないといけない人です。僕は邪魔でしかありません」
「それこそ愛人として圭を囲う気じゃないのか?」
「僕はもう政宗さんの愛人です。ここが僕の居場所なんでしょう?」
圭がいくら颯馬の元に戻らないと言っても、疑心暗鬼になっている政宗にはなかなか信じて貰えない。
圭はもどかしくて泣きそうになってしまった。
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