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何が起こっているのかは分からないが、一人で寂しい気持ちで居た圭は早坂が来てくれたことが単純に嬉しかった。
なかなか帰って来ない政宗を待つのは不安で、克服したつもりだった父親が亡くなった時のことを思い出してしまいそうになる。
「お二人とも食事は召し上がりましたか?」
「圭ちゃん、俺達のことは気にしなくてもいいから……」
「良かったら一緒に食べてください。一人だと味気なくて…」
圭にそう言われたら断るのも悪い気がして、早坂と古田は勧められるまま食卓に座った。
今夜政宗が戻ることは無いと聞いて、圭は政宗の為に作っておいた食事を食卓に並べていく。
「美味しそうだな」
「お口に合うといいですけど…。たくさん召し上がってくださいね」
二人が美味しそうに食べるのを、圭はにこにこしながら見守った。ここ最近、政宗と一緒に食事をする時間が無く、誰かと食卓を囲むのは久しぶりだ。嬉しいが、ここに政宗が居ればもっと嬉しいのにと少し寂しく思う。
「圭さんはお料理上手なんですね」
古田が煮物を口にしながら褒めてくれたのが恥ずかしくて圭は頬を染めた。
颯馬も政宗も自分より余程料理が上手だ。自分なんかが褒められるだなんて恥ずかしかった。
「あーもー、圭ちゃん、そんな可愛い顔したらボスに怒られるよ」
「僕、別に可愛くなんかないです」
「いや……圭さんは可愛いですよ。本当に気をつけた方がいいと思います」
「古田さんまで……」
二人に可愛いと言われて、圭は複雑な気持ちだった。
政宗もそう思ってくれているのだろうか。
そうだったらいいのにと思う。
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