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食事を終えて、圭が風呂に入っている間に早坂は政宗に連絡を入れた。
『圭は大丈夫そうか?』
「はい。少し元気がない気がしますが……ボスに会えなくて寂しいんじゃないすか?」
『ちゃんと守ってやってくれよ。もう二度とあの子を危ない目に遭わせたくないんだ』
「今夜は交代で起きてますんで安心してください。明日には雨も上がるみたいですね」
『向坂と遺体の確認に行ってくる。その後、圭は……アイツに預けようかと思う』
政宗からアイツに預けるという言葉を聞いて、早坂は眉を顰めた。
颯馬に圭を託して堅気の世界で守ってもらう……その案を聞いた時、早坂は強く反対した。政宗と圭がお互い思い合っているのは分かっていたので、あえて別れる必要はないと思ったからだ。
ボスには考え直すように言ったのに……。
「ボス、圭ちゃんはボスのこと大好きですよ。ボスだってそうでしょう?」
『圭のことは愛してる。だからこそ俺の傍なんかに置いておいたらいけないんだ。圭が幸せになれない』
「それは圭ちゃんが決めることじゃないんですか?」
『圭は元々あの男が好きだったんだ。俺が身を引けば……またよりが戻るだろう』
「本気で言ってます?そんな馬鹿なこと」
政宗は圭のことが好きすぎて、まともな判断が出来なくなっていると早坂は思っていた。
颯馬が圭を攫った時のことを政宗が忘れたとは思えない。
あの時の圭の様子では、完全に颯馬から政宗に心が移っていた。颯馬のところに、圭が大人しく戻るだなんて思えない。
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