1841人が本棚に入れています
本棚に追加
/308ページ
夜中に喉が渇いて圭はふと目を覚ました。
早坂と古田はリビングのソファで眠っているはずだ。寒くないだろうかと気になって、寝室のドアをそっと開けてリビングの様子を見てみる。
古田はソファに横になり眠っていたが、早坂は椅子に座って携帯を眺めて起きていた。
「早坂さん、寝ないんですか?」
「圭ちゃん……起きたのか?」
古田を起こさないように小声で圭が話しかけると、早坂は携帯から目を上げて圭を眩しそうに見た。
圭は昼間に見るよりも夜の方が色気があるように見える。そんなことを思っただけでボスに殺されるなと、早坂は苦笑した。
「喉が渇いてお水でも飲もうかと思ったんですけど……早坂さんも飲みますか?」
「いや、俺はいいよ」
圭がキッチンに移動したので、早坂もダイニングスペースに移動した。
座って水を飲む圭に、早坂はずっと気になっていたことを尋ねてみた。
「圭ちゃんは……借金のせいでここに来ただろ?」
「そうですね…借金が返せなくて、政宗さんに肩代わりしてもらう代わりにここに来ましたね」
「借金がなければ、あのボンボンと一緒に居たかったかい?」
圭は水の入ったグラスを見つめて少しだけ考えるそぶりを見せた。しかしすぐに小さく首を振る。
「ここに来ることにならなくても、颯馬さんとはずっと一緒には居られなかったと思います。あの人は結婚して会社を継ぐ運命からは逃れられなかったと思いますから…」
最初のコメントを投稿しよう!