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あのまま颯馬さんと一緒に居れば、愛人として僕を一生大切にしてくれたかもしれない。
でも……颯馬さんの奥さんや子供のことを考えたら、僕はきっと颯馬さんの傍に居るのが辛くなっただろう。
「颯馬さんとは運命的に出会いましたけど……最初から別れるのは決まっていた気がします」
「じゃあ、ボスとは?」
「政宗さんとは……」
政宗とは胸の高鳴るような運命的な出会いではなかった。むしろ苦手な政宗の元に来るのは、苦痛だとさえ思っていた。
それが今は、こうして少し離れただけで寂しくて傍に居て欲しいと思っている。
颯馬の時とは明らかに違う。
政宗とは一緒に歳をとって生きたい。
傍に居続けたいと思っている。
「僕、政宗さんのことが大好きです。お荷物だと分かっていても、借金を言い訳にしてだって離れたくないって思ってます」
早坂に対して真っ直ぐに答える圭の返事を聞いて、早坂は心底安心していた。
ほら見ろ。
圭ちゃんの気持ちは揺るぎないものじゃないか。ボスが色々考えたって圭ちゃんの心は決まってるんだ。
そう思って圭に微笑みかけると、圭は急に自信のなさそうな顔になってしまった。
「でも、やっぱり狡いですかね……。政宗さんに僕は相応しくないって分かってて離れないだなんて……」
「いや、安心した。ボスはモテるけど恋愛に関しては疎いからさ。面倒な人だけどよろしく頼むよ」
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