第13話

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遺体安置所で確認した遺体は、齋藤で間違いなかった。 政宗は向坂と一緒に遺体を確認し、警察から話を聞いた。 「両手の指が全部落とされてましたね。あれは最近巷で薬物をばら蒔いている中国系マフィアの報復の方法と一致してます」 齋藤はやはり薬物絡みで中国系マフィアに処分されたということで間違いなさそうだ。 だが、政宗はまだ向坂を信じてはいなかった。 「アイツ、中国系マフィアなんかと取引してたんだな。まんまと騙されてた」 「本当に……知らなかったんだな?」 「本当だって。お前はマジで疑り深いね」 帰りの車の中で向坂と政宗は齋藤の件をどう片付けるか話し合っていた。 裏金は結局何処に行ったのか。齋藤を処分する時にマフィアが回収していったのか。齋藤は何処でマフィアと繋がったのか。 不明な点は沢山ある。だが、齋藤が見事に手掛かりを残しておらず、この件についての真相を追うのは難しそうだった。 「真相は齋藤が死んで闇の中だな…」 向坂はそう呟くと腕を組んで目を閉じた。 その表情から、向坂が何を考えているのか政宗には分からない。 齋藤さえ生きていれば全てを吐かすつもりでいたのに、消化不良な形での幕切れに納得がいかなかった。これでは向坂に抱く不信感も解消することは出来ない。 向坂が齋藤の件にどう絡んでいたのか、確かめるのは難しそうだ。
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