第14話

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第14話

話をするためにお茶を淹れながら、圭は少し緊張していた。 改まって話があるだなんて……よくない話ならどうしようと不安な気持ちを抱えながら、それでも圭は決めていた。 政宗の話が別れ話でも、精一杯の気持ちを伝えて足掻いてみようと。運命に流されるまま何があっても逆らわずに生きてきた圭は、初めて流れに逆らってみようと思っていた。 「お話って、何ですか?」 ソファに座る政宗にお茶を出して、圭は政宗の隣に腰掛けた。 「体調はどうだ?薬の後遺症はないか?」 「すっかり元気です。あの時はご心配おかけしました」 「俺と関わってなければ……圭は安全に暮らせたのにな。俺が無理矢理お前を手に入れようとしたせいだ…」 「大事には至らなかったし、僕なら大丈夫だからそんなこと言わないでください」 政宗は膝の上に置いた拳をぎゅっと握り締めた。圭は大丈夫だと言ってくれるが、その優しさに甘えていいものか。 「俺は圭を巻き込んでしまったことが許せない。俺と居たら、これからだってまた危険な目に遭うかもしれない」 話の流れが嫌な方に向いていると圭は感じていた。政宗が別れを切り出すのではないか、そう思うと胸が苦しくて声が出せない。 「圭、借金のことなら気にしなくていい。俺は十分お前に返してもらったから」 「何で……そんなこと…」 「須崎のところに戻りたい気持ちは無いのか?あそこならお前は安全に暮らせる…」
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