1人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は話せば長いことになるけど、数奇な運命を辿り、日雇い労働者に成り下がってしまった。毎日、何処へ行かされるか分からない。期間が長い現場もあれば短い現場もあるようで転職後の初日、イベント会場の後片付けの仕事に廻された。トラックの運ちゃんみたいなと限定すると、運送業者に聞こえが悪いけど、怖そうな乱暴そうな低能そうな奴がしこたまうろつている。まるで自分とは似ても似つかない連中ばかりだ。うんざりする。何処でも僕は異質なんだ。何処でも僕は馴染めないんだ。何で僕がこんな所で働かなければいけないんだろう。僕はこんな所で働くべき人間じゃない。そんな風に高尚ぶると、寒い奴と思われるらしい。食み出し者にならないよう空気を読んで同調して保身している奴らの考えそうなことだ。寒い奴と思われようが、不遇に違いないからそう嘆く。嗚呼、もう嫌だ。逃げよ。でも只働きになっちゃうから今日だけは我慢しよ。得られるものが得られなきゃとどのつまり食いっぱぐれになっちゃうからな。
この仕事の良い所は歩いてるだけでも仕事をしてるみたいに見えることだ。へへへ、適当に歩いてりゃいいんだ。そうして時間が過ぎていく。バカみたいな時間が過ぎてゆき、碌に仕事もしない儘、定時になった。
送迎ミニバンに乗って現場からテナント事務所に向かう。中にいる運転手も僕以外の回収された作業員も喋るに値しないくだらない奴ばかりだ。そうさ、僕は何処で働いてもそう思うから仕事が続かないんだ。
最初のコメントを投稿しよう!