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第一話『緑の双子人魚』
「あ、あの!」
水路に飛び込んだ2人に聞こえるか分からないけど呼び止めてみる。
第一話『緑の双子人魚』
「…なんですか?」
長い髪をした方の男が水路から顔を出す。
よかった、聞こえたんだ。
「セルシアがこうなったのは私のせいだし…その、食料調達くらいお手伝いさせて下さい」
私の申し出に彼は一瞬大きく目を開く。
「どうする?セルシア」
困ったような顔でセルシアの方を伺う。やっぱり駄目だろうか…?
「ここいらの海は王都と違い海流の流れがキツイが。オーフェンと一緒なら大丈夫か」
「あぁ。それに弟のカリスもいるし平気だよ」
こっちの髪の長いほうがお兄さんのオーフェンなんだ。さっきの髪の短い…カリスよりも柔らかい感じがする。
「セルシア、さっきのアックスが言ってた事気にしてるのか?」
「いや…。ただ、この体では何も出来ないからな。代わりに、彼女に俺達の事を教えてほしい」
セルシアはそう言うと少し咳をして、弱弱しくこちらを見る。
「そういえば名前を聞いていなかったね。
俺はセルシア。セルシア・レイハート。
そこの彼はオーフェン。もう1人がオーフェンの双子の弟のカリスだ」
「神埼リサ.こっちの世界風に言うならリサ・カンザキかな」
この世界は名前が先らしい。ちょっと外国っぽくてなんだかカッコイイ。
「とにかく、怪我人は寝てろ。
それじゃリサ、セルシアの好きな大カラス貝を採りに行こう」
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