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打ち上げと送別会
「契約とライトアップ作戦、お疲れ様でしたー!」ジュースの入った紙コップをそれぞれ持ち上げた。
この日ばかりは持ち込みOKでジュースやお菓子がテーブルにたくさん並んだ。
「この間のライトアップ作戦、ネットニュースになっちゃったんだって! ちょうどあの日、全国的に天気が悪くて地震もたくさんあったじゃない? だから皆んな神様に何事もないようにお願いしたらしいよ。」というのは侑香の情報。
「写真もいっぱい届いてますよ。」
望実がパソコン画面を皆んなに向け、ライトアップを楽しむ人々の写真を次々に見せた。
「なんか感動だねー。」
「うん。こんなこと出来ると思ってなかったからさ。やっぱ勢いが大事なのかも。」
「坂下町を訪れる観光客も増えたようですよ。天の巨人さん人形の売れ行きがすごいと奥宮のお爺さんが話してました。」
「本物の天の巨人さん水色しかいなかったね。」
「ピンクや黄色はいなかった(笑)。」
ひとしきり食べて飲んで喋ったあと鈴木が「宴もたけなわですが。」と立ち上がった。
「今日の主役、引退する部長よりご挨拶!」
パチパチパチパチ
「えーと、皆さん先日は“契約”とライトアップ作戦お疲れ様でした。これは間違いなくオカルト研究部の歴史に残る出来事でしょう。
オカルト研究部をつくった当初は、こんなにも多くの部員が集まってくれるなんて思ってもみませんでした。皆さんのおかげで、充実した高校生活が送れました。助けてくれて支えてくれて、ありがとうごさいました。
最後にぼくから皆さんにお願いです。あの場で起きた出来事は胸にしまっておいてください。あの場に悪用する人はいませんでしたが、世の中には悪いことを企む人もいます。
坂下町の神秘はどんどん公表し、“契約”については隠してください。
未藍さんが地の神の子ということもです。いずれ話せる時代が来たら話すことにして、いまはここだけの秘密です。」
皆んなうなずいた。
「部長、大学はどこに行くんですか?」
「地元の大学を受験する予定です。ぼくはこの町を離れるわけにはいかないですからね。語部として。」
--春。
稗田は坂下高校を卒業し、入れ替わるように稗田の弟の学がオカルト研究部に入部した。
「飛島さんて、あの飛島ですか?」
稗田学がおそるおそる言った。
「そう、かの有名な飛島三男家の三男坊。飛島家のせいでヒドイ目にあった人たちのために、ぼくができることを探しているところ。」
「未藍さんてめっちゃ美人ですよね。兄ちゃん何も言ってなかったのに。」
「彼女には婚約者がいるんだから、近寄っちゃダメダメ!」
瓜田が稗田学の前に立ちはだかる。
瓜田はまたこっそり未藍の護衛をしている。ヒーローは情けなくても見返りがなくても信念を貫くのだ!と思っている。
そんな瓜田に望実は黙ってエナジードリンクをおごる。瓜田はなんでおごってくれるのか、さっぱり分からない。
今年、オカルト研究部には3名の新入部員が入って、いっそう賑やかな部活になった。
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