父からのすてきな提案

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父からのすてきな提案

「これは、蓮くんが妻は未藍ひとりでいいと約束してくれたから出来ることなんだよ。  未藍が90歳で亡くなったとしたら、また生まれ変わって蓮くんと出会い直す。そうすれば900年の間何度でも蓮くんと結ばれることができる。  ただしそれには条件があります。  これより蓮くんには1000日間、地の世界で過ごしてもらいます。それでも2人の気持ちが変わらなかったら、未藍の生まれ変わりが可能になります。悪い話ではないでしょう?」  蓮と未藍は目と目を合わせ 「そうします!」と明るく応えた。 「よい提案をありがとうございました。」  今度は龍が地の神に御礼を述べた。 「龍様も華乃(カノ)さんも、よく決断できましたね。こちらこそ守神が決まってほっとしています。華乃さんは親御さんや親類が心配するでしょう。」 「い、いえ。私は母が亡くなってからは天涯孤独(てんがいこどく)の身です。火明様の家で働いていた母が亡くなると、火明様が援助をしてくれて学校も卒業できました。龍様に出会うこともできました。こんな幸せなことはありません。ですから私はこれから周りのために生きたいと思っていました。坂下町の守神ができることに喜びを感じています。」 「龍様も腹は決まっておられますね?」 「はい。わたしは天と地と人の契約のために生まれ、その役目が果たせないのなら何の価値もない生き物だと思っていました。カノと2人で守神を任されることはこの上ない喜びです。」 「では今晩中に身のまわりを整理して、夜が明けるまでに白猫の祠に来てください。大切な人ともお別れをしなければなりませんよ。」  こうして地の神も去り、三津子は結界を解いた。何時間も経ったかに思えたがまだ21時にもなっていなかった。
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