ライトアップ作戦

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ライトアップ作戦

「恥ずかじぃいぃ〜。生きぃてけないー!!」  侑香(ゆうか)にすごまれて、趣味のホームページサイトを提供した望実(のぞみ)は恥ずかしさに悶えていた。  明日の夜、坂下町で“天と地と人の1000年に1度の契約”が交わされる。  天の神様と地の神様、そして人の王が坂下町の足窪池(あしくぼいけ)に集結するすごい日だ。  古代、このあたりを治めていた豪族はもう存在しない。知らない誰かが人の王(代表)として名乗りをあげたが、神の判断か何かでその人が代表に選ばれない可能性もある。  そこで、人の代表が誰もいなくなった時の保険として考えられたのがライトアップ作戦だ。  私たち全員が人の代表です!と神様にお知らせするため、なるべく多くの協力が必要になる。  坂下高校オカルト研究部の稗田(ひえだ)部長より話を聞いたのが日曜日の午前。  健気な部員は、その日のうちにフライヤーを作り、夜には印刷所にデータを持ち込んだ。 (地域歴史研究部というのは仮の名前だよ)  SNSでもフライヤーデータを拡散した。  友達へ友達の友達へと。  だけど「これだけじゃ何のことか分からない!」とたくさん返信がきてしまって、急遽ホームページを作ろう!ということになった。  しかし問題が発覚する。ホームページは作ってもすぐには検索エンジンにひっかからない。  そこでオカルト研究部1年、高井望実(のぞみ)の私的ホームページサイトに白羽の矢が立った。というより私が立ててやった。  1年の大塚未藍(みあ)と私とで望実(ノゾミッチ)の部屋に遊びに行ったときのこと。  パソコンにメールが届き、その内容から男と男の美しくもイヤラシイ絵を描いている望実(ノゾミッチ)が人気者であることを知った。2年の飛島先輩に似た少年の絵もあった。  温情で男子部員に見られたくない作品は、一時的に隠して良いということにした。  かくして、祝日の月曜朝からノゾミオカルティカのアドレスが入ったチラシはSNSで拡散された。彼女にはファンがいるようで問い合わせがたくさん届いた。 「もう、いいです!このサイトは“契約”が終わったら捨てますから。」  半ベソのノゾミッチに私はご褒美をあげることにした。  SNS班に飛島(しゅん)くんとノゾミッチを推薦した。フライヤー手配り班は副部長の鈴木くんと1年の瓜田くん、そして私(侑香)の3名だ。  時間は今日と明日の夜までしかない。友達と仲間の無事がかかっている。やるだけのことはやろう! オカルト研究部は一致団結していた。 9月21日(月・祝)am10:00
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