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もっと話していたい
明日にでも地の世界へ行ってしまう蓮は、未藍と別れを惜しんでいた。
「1000日なんてあっという間だよ、地の世界ではな。未藍は待てそうか?」
「もっちろん!オカルト研究部でワイワイしてたらあっという間だよ。」
「未藍は可愛いから、虫喰いのときみたいに変なヤツが付きまとわれないか心配している。地の世界に行ってしまうと俺の烏でも監視できないからな。」
「えっ? いままで監視してたの?」
「いや、たまに。」
「私、護身術を身につけるよ。そうすれば大丈夫!侑香もついてる。」
「あまり……強くなりすぎるなよ。」
「ねぇ、生まれ変わってまた出会うなんてすごいよね。どうやって見つけるのかな?」
「未藍には蛇紋があるから、見つけられるさ。次は見える場所にあるといいけど。」
「見える場所に蛇紋いやだー!」
2人の話はとめどなく続く……。
「えぇっ?!?!」
遠くから驚く声が聞こえた。
天帝は蓮と龍のお父さんだと思っていたら、奥宮のお爺さんが「あれは女の声だった。」と言うので皆んな驚いて声をあげた。
「天帝は、白猫の伝説の蓮行さんじゃないんですか?」
「蓮行さんじゃろうなぁ。白猫の伝説では男だど思ったんだが。天帝は両性具有がもしんねぇ。」
「そんな新解釈やめてくださいよー。」
そう言いながら稗田も天帝が女性なような気がしてきた。
神の世界は自分たちの常識では測れない。解けない謎はいくらでもある。だからこそオカルト研究なのだ。
もうひとつ稗田には解せないことがあった。
“契約”が上手くいき過ぎたと思うのだ。こんなに上手くいくなら怖がる必要はなかったのではないか。
神の気持ちは分からないし憶測でしかないが、天の神と地の神は全てを知っていて、子どもたちの気持ちを試しただけなのではないかと。
蓮と龍の関係にも疑問を感じた。蓮だけ父(母)の名前を1字もらっているし蓮だけが烏を使って偵察ができる。
稗田はその憶測はやめにした。勘ぐって明かさなくてもよい秘密もあるものだ。
--こうして高校生語部、稗田綴の大変な1日は終わった。
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