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有言実行
「なんか、白猫の祠をお参りすると両想いになるらしいんですよ。」
そんな噂を持ち込んだのは稗田学だ。
手には少女漫画を持っている。
「坂下町を舞台にした少女漫画なんですけど、主人公の男女が白猫の祠の神様になるっていう話なんです。で、白猫の祠が人気になっちゃって、”恋愛成就の白猫様”って女子は呼んでるんです。」
学の話にオカルト研究部員はいっせいに望実の顔を見る。
「少女漫画の作者は……ノゾミオカルティカって……えぇー!!まさか望実先輩が描いたんですかー??」
望実の描いた漫画は書籍化されプチブレイクした。一部の人たちの間で人気となり、聖地巡礼をする女性で白猫の祠が賑わっていた。
坂下町のお年寄りたちは「白猫の伝説はそんな話じゃないよ!」と怒るが、稀にネオ白猫伝説が正しいこともある。
伝説はこうやって時代とともに変わっていくものなのだろう。
飛島隼が望実の描いた漫画を持ってきた。
「サインお願いします。すごいね望実ちゃん。望実先生って呼んだほうがいいかな? 前に自信を持って見せられるものを描くって言ってたよね。有言実行だ、尊敬するよ。」
望実は漫画本に丁寧にサインを書いて、そのページに自分の個人アドレスをはさみ入れた。その後2人がどうなったかは分からない。その後望実の描く漫画に飛島に似た少年が何度か登場することになる。
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