後日談

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後日談

 その年の春、火明寿造(ほあかりとしぞう)は内閣総理大臣となった。それは火明の実力なのか、隠方(いんかた)と呼ばれる謎の組織のおかげかなのかは分からない。  火明は神と約束した通り、道徳教育と情操教育に取り組んでいった。天と地と人が平和に暮らせる世になるために。  火明は、御泊(おどまり)の祭礼復活を裏から支えオカルト研究部とともに3年後に祭礼を復活させた。秋分の日は観光客を呼ばないことに決め、ごく一部の人だけで地の神を迎えることとした。  生玉(いくたま)の行方は分からない。稗田がどこかに隠し、1000年後また誰かの手で取り出されるに違いない。  “契約”のあと稗田に書留が届いた。中には龍に取られたままの黒い手帳が入っていた。稗田は何日か後にその手帳を完全に処分した。  語部(かたりべ)秘密はもう、稗田の中にしか残っていない。
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