絶好のチャンス

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絶好のチャンス

 来年の春、与党 改新党の総裁選がある。  火明寿造(ほあかりとしぞう)は満を辞して立候補するつもりだ。これまでずっと裏方にまわって政府を支えてきた。「今回こそ何としても!」という想いが強かった。  そこに転がり込んできたのが、天の神の子である(りょう)を預かる役目だった。  日本を裏から動かしてきた隠方(いんかた)の筆頭より“1000年に1度の契約”を無事に成功させるようにと託された。  総裁選を前に隠方としてではなく、人の王(代表)として“契約”の場に立つ絶好のチャンスが巡ってきた。  “契約”を明日に控え前日には坂下町に入るつもりだった。支度を整え寛いでいるところへ同期の議員から電話がはいった。 「火明くんに会いたいって人がいるんだよ。次期総裁選で君を推したいと言ってるから今晩一杯どうかね?」 「今晩? 今日と明日は予定が入ってるんだ。」 「大きな派閥票が入るんだ。何をおしても駆けつけるべきだろう。」 「うぅむ……分かった。予定を少し変更しよう。」  明日の午前中に出発すれば間に合う。火明はそう思っていた。 9月21日(月・祝)am11:27  
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