ストレスが人を成長させる。

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ストレスが人を成長させる。

一日中仕事してると、つくづく自分は仕事が好きなんだなと感じる。というよりも、好きを通り越してもはや呼吸するのと同じぐらい仕事をしているのが自然になっている。そこにはつらいとか苦しいとかやりたくないなんてことはない。呼吸はいちいち意識しなくてもできるように、仕事もいちいち意識せずともできるようになれば毎日ハッピー間違いなしだ。 でもここまでたどり着くのにかなりの時間がかかった。10代の頃からバリバリ仕事をしていた感覚が体の奥底に刻まれているので、仕事をしないことは死んでいるのと同じ状態なのだ。もちろんこれは自分の感覚であって、ニートや無職の人を否定、批判しているわけじゃない。ただの個人的な感覚だと思って聞き流してほしい。仕事と呼吸を同一のものと考えることで、働いているというストレスがなくなるのだ。 昔は仕事なんて大嫌いで、できることなら休みたかった。それが今では365日同じような時間に目覚め、仕事をし、考え、また仕事をしている。仕事がライフでありワークであり、生活がワークでありライフなのだ。両方の境界線はない。どちらにも縦横無尽に行き来しつつ、自分にとってちょうどいい感覚でストレスをコントロールしながら人生を生きている。 ストレスは麻薬と同じく人間を狂わせる。いたって正常な人であっても、ストレスを過剰に感じることで精神的におかしくなり、なにに対しても興味がなくなる。その先にあるのは生き地獄であり、どこまで生きてもお先が真っ暗、将来不安定、生きる屍のような日々だ。日本という世界的に見ても天国のような豊かさが一変、地獄のように感じてしまう。ストレスは怖いのだ。でも多くの人はストレスをたかがストレスだと甘く見てる。 一般的には仕事とストレスは切り離せないものだと認識されている。仕事をしている以上、必ずストレスが伴い、心身ともに疲弊してくれば何もかもイライラしてくる。仕事も人間関係もうまくいかなくなり、恋愛も趣味もなにもかもおかしくなっていく。そのすべてはストレスだけが原因じゃないかもしれないが、ストレスをたかがストレスだと甘く見ていると痛い目を見るのである。 人生には仕事は欠かせない。恋愛も欠かせない。趣味も大事で友達や家族といった人間関係も大事だ。でも、そのすべてに悪影響を与える源泉がストレスなのだ。たったカタカナ4文字の「ストレス」という言葉が持つ意味は海よりも深い。きっとマリアナ海溝よりも。 仕事とストレスはコインの表と裏と同じく切っても切れない関係かもしれない。いや、極論を言ってしまえば仕事以外の日常生活全般ともストレスは切り離すことができない。道を散歩していて石ころにつまづいただけでもストレスを感じることがあるだろえ。もしくはテーブルに小指をぶつけたときでも。 ストレスという言葉をどう定義するかはその人の性格次第だ。お気楽で大してなにも気にしない性格をしている人であれば、世の中の大多数の人がストレスを感じる状況であっても楽しむことができる。孫悟空が強い奴と出会ってワクワクしたり、ルフィが新しい島にたどり着いてドキドキするのと同じ具合だ。どちらも小心者にとっては願い下げである。 よく本屋に並んでるくだらないビジネス本や自己啓発本には「ストレスをコントロールするコツ!」「ストレスに負けないメンタルづくり!」などといったタイトルの本がズラリと並んでいる。ズラリと、だ。でもストレスに対する対策に大それたものなんかない。すべてはとらえかた次第なのだから。コツさえ押さえればストレスを飼いならせるというのは嘘なのだ。ストレスは人間が生み出した言葉である以上、とらえかたも人間の数だけ存在してる。 仕事にストレスを組み込むと仕事は苦痛になる。日常生活にストレスを組み込むと生きるのがつらくなる。人間関係にストレスを組み込むとメンヘラになる。きっと悪いのはストレスそのものではなく、ストレスを組み込む位置なのだ。 産まれてから隔離された無菌状態の部屋でストレスが一切ない赤ちゃんは、外に出て細菌やウイルスというストレスに触れるとすぐに死んでしまう。今までストレスを一切感じたことがない人がストレスを感じると、うまくストレスを処理することができず大ダメージを負ってしまう。ストレスは扱い方が肝心である。 自分は30年近く生きてはじめて気づいた。ストレスを排除しようとすればするほどストレスになり、ストレスを受け入れて許容することでストレスを味方につけることができる。身ぐるみをはがそうと風が追い討ちをかければ着込んでしまうが、太陽を使うことで自然と脱がすことができる。ストレスもこれと同じだ。 ストレスを感じた脳は見ている世界を変える。ストレスを一切感じていない脳も見ている世界を変える。仕事から得られるストレスはきっと生きていくのに必要なものなのだろう。ストレスがあるから人は昨日よりも今日、今日よりも明日、明日よりも明後日をいい日にしようと願うのだろう。
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