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都合の良い「自己責任」という言葉にはご注意。
最近はなんでもかんでも「自己責任」といえば丸く収まると勘違いしている人が多いと感じる。誰かに何かをアドバイスしても、最後に「まぁ自己責任だからね」とか言っておけば、アドバイスされた側がアドバイスした側の言うことを聞いて不利益を被ったとしても正当化されてしまうのだ。
「自己責任って言ったじゃん。やるかやらないかを決めたのは自分でしょ?」というわけだ。
こんなことがまかり通る世の中は、どこかおかしいと感じないだろうか?食生活アドバイザーしかり、ダイエット理論を唱える栄養学者、企業のコンサルタントや投資を促す自称勝ち組連中、精神カウンセリングやとにかく行動しろと煽るインフルエンサー。
そういった人たちの言うことを真に受け、あまり深く考えずに行動を起こしてしまった人が、行動の結果何らかの不利益を被ったとき、すべては自己責任だと突き放す社会はおかしいのではないだろうか。
誰かに何かをアドバイスするときは、アドバイスした結果、アドバイスされた側が不利益を被った時にはしっかりと責任を負うのが正しい社会の姿だ。
自分たちの食品を売るために、食品会社が自社の食品を食べれば健康になれると言い、それを食べた人たちに病気が発生すれば食品会社は全責任を負うべきだ。医者にしても、患者のために処方する薬で患者が死んでしまったら、きちんと責任を負うのが医者のあるべき姿である。
しかし、現代では金儲けのことしか考えていない企業や人間がゴキブリのように湧いているのが事実であり、食品会社が謳う健康食品を食べて病気になったとしても、食品会社は因果関係を認めずに知らん顔だ。
医者にしても同様で、自分の処置で死んだ証拠はない、と言って責任逃れをするのが現実だ。因果関係や統計的なデータから真実を見抜くのは難しい。なぜなら、統計的なデータはその性質ゆえに真実から目を逸らせるものだからだ。
こうした問題は食品会社や医者だけに言えることではない。冒頭で述べた人たちにも当然のように当てはまる。特に最近はツイッターやインスタといったSNSの影響力がとても強く、スマホを持っている人であれば誰でも簡単に第三者の意見や情報を手にすることができる。
「有益な情報と無益な情報を見抜けない人がバカなだけだ」という反論をする人もいるが、純粋に健康になりたいと思っている人が、アドバイスにしたがって不健康になる。バカだとか情弱だとかを抜きにして、嘘情報ばかりが跋扈する社会が本当に正しいと言えるのだろうか?
現代は昔にはない新しい職業がたくさん生まれつつある。プロゲーマーやYouTuberはその筆頭であり、ブロガーやアフィリエイター、SNS上のインフルエンサーやオンラインサロンを運営する人たち。このnoteのサービスでも記事を有料にして販売してお金を稼いでいる人もいるだろう。
お金を稼ぐ手段が多角化していくのは、社会としても文明としても好ましい変化だ。しかし、現代で登場したお金を稼ぐ手段の中に、上述したように、他人の不利益に一切責任を負わないのにも関わらず、他人にあれこれアドバイスしてお金を稼いでいる連中がいる。
何かアドバイスするときには決して「自己責任」という言葉を忘れずに、何かあったときのために自分の立場をリスクヘッジしておく。他人に行動しろとだけ煽りながら数万円の情報商材を販売し、相手が綺麗事にまとめられた商材を手に、熱意とともに仕事を辞めたり大学を中退したりし、結果的に路頭に迷ったとしても、「それはあなたの努力が足りないんですよ」と冷たく突き放す。
お金だけ取って、あとは完全に自己責任。失敗しても自己責任。一文無しになっても自己責任。路頭に迷っても自己責任。生活保護になっても自己責任。
たしかに、行動を起こした人の努力が足りなかったりなどの自己責任の部分もあるが、他人の人生に大きな影響を及ぼす行動を促すのであれば、行動の結果に対して責任を負うのが筋だろう。それとも、お金だけ搾取できればそれで満足なのだろうか。きっとそうなのだろう。
偉そうに高いお金を取ってアドバイスしたり、何万円もする情報商材を販売したり(自己責任という言葉は忘れない)、インフルエンサーという立場を利用して、自分で使ってもいない商品の宣伝をしたり(いわゆるステマというやつだ)、他人のことなど一切意に介さず、自分の利益のことだけを考えている連中には特に注意してほしい。
現代は、自己責任という刃物を赤子に渡し、振り回して怪我するのを自己責任だという社会なのだ。
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