旅立つ決意 ~アルバート~

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旅立つ決意 ~アルバート~

兄貴が帰って来たのは2日後だった。 「よぉ、帰ったか」 「うん。ただいまアルバート」 兄貴の手には包みが。 「母さんからのおみやげ。まだお昼ご飯食べてないよね?」 まだ昼前だったから何も食ってない…いや。あの手紙を見てから何も喉に通らなかった。 「食ってない。もらってもいいのか?」 「うん。アルバートの分だから。 僕はちょっとグレゴリーと話してくるね」 「俺もついてく」 兄貴から母ちゃんの土産だと言うサンドイッチを受け取って台車に乗って食べながら俺達はグレゴリーの執務室に向かった。 「いよぅ、グレゴリー。調子はどうだ?」 「あぁ、アルバート坊ちゃま。アルベルト坊ちゃまがお帰りになったのですね」 開けたとたん書類が山積みになった部屋が。兄貴がいないとすーぐこうなる。 「見ての通り…私めには収拾が着かなく…」 「うん。分かった。これは僕に任せて…アルバート。グレゴリーにこれについて聞いてくれないかな?」 「なんだ?からくり箱?」 兄貴が寄越したのはオリハルコンのからくり小箱。 「グレゴリー。コイツがなんだか解る?」 グレゴリーに渡すとでっかい手のひらにちょこんとそれを載せてじっと見つめる。 「…これは、私めも同じものを持っていますぞ」 「ほんとか?」 「はい。アルバス様が生前、自分が亡くなった後に開けるようにと言って渡された物ですが…」 そう言ってグレゴリーは少し大きめの、兄貴が渡してきた物と同じような箱を取り出す。 「開かなかったんだよね?」 「はい。何をしても開かず、もし遺言であるならアルベルト坊ちゃま達がいらっしゃるので私めには必要のない物だと思い放置しておりました」 ……あ、これは… 「ちと貸してみ」 俺はグレゴリーから箱を借りると兄貴から受け取ったのとを合わせ、表面にうっすらとある数字通りにお互いの本当にうっすらある溝に合わせてグリグリと回しては他の面を合わせて回しを繰り返した。 ガチャリ… 「お、開いたみたいだ」 中には二つとも紙が入っていた。 「……」 二つを照らし合わせると暗号になっており、それはすぐに何が書かれているか分かった。 「兄貴…いや。グレゴリー。俺が此処を一週間ぐらい離れても平気か?」 「アルベルト坊ちゃまが居てくださるなら仕事に差し支えはありませんが」 「ひっでーな。 ま、頼んだぜ兄貴。ちょいと俺は旅に出る」 「うん。分かった…気を付けてね?」 「おう。任せとけ。 俺が帰るまでに出来れば仕事を数日分先に仕上げといてくれるといいけどな」 たぶん…最終的には兄貴の手が必要だ。 よし、ひとまずビルダンに行くとするか。
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