母のごはん

1/1
前へ
/28ページ
次へ

母のごはん

「お帰りなさい、母さん、ゼノン」 玄関に出迎えに行くと母さんの後ろには買い物した荷物を持つゼノンの姿が。 「ちゃんといい子で待ってた?」 「当たり前だよ。もう子供じゃないんだから」 いつまでも子ども扱いする母にそう言うと 「でも、貴方はずっと私とアルバスの子どもだからね」 って言われてしまう。 「勿論ゼノンもよ?」 「…」 照れたように耳をかくゼノンの尻尾がぶんぶん揺れているのを見て思わず笑ってしまう。 「それじゃ、ご飯作るね。アルベルトはゆっくりしててね」 「うん」 母さんにそう言われ、僕はご飯が出来るまで家の中の発明品の点検や修理をして過ごした。 「アルベルト様、御飯が出来ましたよ」 そうゼノンが呼びに来てくれたのは1時間後くらい。ご飯のいい匂いが僕のお腹の虫を鳴かせている。 「うん。有難うゼノン」 「いいえ。 それより…アルバート様は一緒じゃないんですか?」 「うん…それはね」 ゼノンには隠し事は出来ないから…僕は素直に話した。 「……アルバス様の遺言の…」 流石にゼノンも驚いた顔をしている。 「母さんには内緒にしてね。 …で、ゼノン。もしかして知ってる?」 母さんよりも父さんと長く一緒に居たゼノンなら何か知っているかもしれない。 「アルベルト様。此処ではお話できません」 「どうして?」 そう聞くとゼノンは僕の手を取り、手の平に何か書く。  こ の い え は か ん し さ れ て い ま す 「?!それ、本当なの?」 「はい」 この家は監視されています…。その事実に僕は驚きを隠せない。周りを見回すけど何もそんな感じはしない。 「まずはご飯を食べましょう。也美様が心配します」 「うん…そうだね」 だけど…僕の頭の中はこの家が監視されていること…それが離れずにグルグル回っていた。 (もしかして…母さんに聞けば…母さんを危険に巻き込むかもしれない)
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加