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小さな箱
ゼノンを待ちながら僕は王宮の中を思い返していた。
(…立ち入り禁止の場所は…)
いや、一つだけ、今思えば気になる場所があった。
何もない場所なのにいつも変わった兵士がいた場所。厠の隣にいつも、クリスティア様のような竜人が立っていたはず。
厠の案内人だか番人かと思って話しかけてもギロッと睨む怖い人がいたはず。
「お待たせしました」
戻ってきたゼノンの手に握られていたのは小さな箱。
「それは…?」
「アルバス様が也美様に出会う以前、俺に本当に手が開いた時に開けて欲しいと言って渡された物です。
しかし…この通り、難解な仕掛けになっていて開かないのです」
箱には難しい細工がしてあり、ちょっとやそっとじゃ開かない感じがする。
しかもこの物質は…世界一頑丈な鉱石で出来ている。光も熱も、刃も通さない。
「この仕掛けを解かないと駄目だね…」
「はい」
これは…あっ、もしかして
「グレゴリーは渡されてないの?」
「どうでしょう…彼とはあまりかかわってないので」
ゼノンと同じ立場のグレゴリー。もしかしたら彼も同じ物を持っているかも?
「ゼノン、これ借りて行ってもいい?」
「勿論です」
「有難う」
僕はゼノンからその箱を借りて空間にしまう。
(これに何かセフィロトの樹に繋がるものが入ってるはず)
その後、朝まで眠り、母さんの作った朝御飯を食べてから僕は発明棟に戻った。
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