「いつ頃帰れるんだよ」

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 アオキ、初めのうちは 「馬鹿、離せ」  さんざん抵抗していたが、風呂場の脱衣所に着くと両脇の男たちはあっさりと手を離した。 「お風呂にお入りになったら、ここに新しい着替えを一式、用意いたしますので」 「着てたやつは、どうすんだよ」 「今回はこちらで洗わせていただきます。その後お返ししますが」  怖そうな大男たちかと思ったが、話しぶりは優しい。 「ここに修行されている間は、服が決められておりますので、お帰りになるまで預からせていただきます」  そう言われれば、見かける信者はほぼ、同じような服を着ている。  上下で柔道着のように見えないこともないが、上着の丈がもっと長く、帯ではなくて短い留め具が脇についている。色は生なりに近いクリーム色、胸には教団のマークである、小文字のnに地球のような丸が乗っている。  とんだ地球防衛軍だ、アオキはふん、と鼻を鳴らした。  そして覗きこむように左側の男に聞く。 「いつ頃、帰れるんだよ」  さあ、大男がきまじめな顔で首をひねった。 「修行の成果が十分現れるまでは……どうでしょうか」  アオキは頭を引っかき回した。右側の男が飛んできたフケにかすかに顔をしかめた。 「いいよ、いい、わかっためんどくせえ。さっぱりしてくりゃ、いいんだろ」  どうせしばらくいるんならよ、おい、髭そりないのか? 後でやってやるだと? 病人じゃ、ねえんだからよ。  ついて来んなよ、素っ裸で逃げられるかよバカ、そう言い捨てて風呂場に入り、広い模造大理石の湯船にひとり、ゆったりと沈んだ。  かけ流しの温泉なのか、お湯は次々と湧き出している。  びっくりするほど、いい湯だった。
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