夜叉の恋

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夜叉が腕を伸ばして楡磋の体を抱き留める。 「な、っ!?」 「夜叉……無事?」 夜叉には矢は届いてない、よかった。 「……夜叉が、鬼でもいい、わたしは夜叉が」 「よせ、しゃべるなっ。血が!」 夜叉の必死な表情。 誰よりも強くて恐れ知らずな鬼がこんなにも震えて。 「俺がおまえを絶対に死なせないっ!!」 「……夜叉」 「おまえがいなくなるなど許さないっ!俺は……俺はおまえが好きなんだっ!」 悲痛な叫び声。 夜叉の想いに胸が熱くなる。 半年ほどの僅かの間だけど、夜叉と過ごせてよかった。 大好きな人に好きと言ってもらえた。生きてきた中でこんなに幸せなことなんてない。 夜叉の腕の中、わたしは幸せだった───
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