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背景は綺麗にセットする。カメラの位置をセットする。照明もこの間、ブラックサンデーで安く購入した。某外資系ショッピングセンターで買った巨大なクマのぬいぐるみに座る。チャットの申請が来るのを待つ。大和朔也ことサクラはゲイのチャットボーイを生業にしている。チャットボーイとはお客様とパソコンやスマホで映像をつなぎ、会話したりエッチな事をするように要求されるわけだが、実際に会わなくて良いので朔也でもできたのだ。
朔也は小学生の頃から不登校になり部屋から出られなくなった。高校は受験しなかった。両親は虎の子を谷に突き落とす覚悟だと言って朔也を16歳の時に家から追い出した。現在、20歳。両親の庇護もなく生きていける訳もなく、アパート代と食費として3万円が送られてくる。家から出られないのに外で働ける働ける訳もない。朔夜はゲイ専門のチャットボーイを始めた。朔夜はお世辞にもゲイの好みそうな筋肉質で大柄な男ではない。外に出てないから肌が透けるように白く、床屋にも行けず自分で切っているから髪は肩まである。体は小さく細い。美少年とまではいかないが、それでもショタ好きのオジサンには可愛いと好まれている。
何度しても少し緊張する。申請がきた。何度も指名してくれる。上得意のミノルさんだ。ミノルさんはデブで禿げている。はっきり言って気持ち悪いが沢山お金を落としていってくれる。
「サクラちゃん」
「ミノルさんありがとう」
「サクラちゃんにここで会うため、いっぱいお仕事頑張ってきたよぉ」
ミノルさんは、鼻の穴を膨らませながら話す。
「うれしい、僕も待ってたよ」
朔也は画面越しのミノルさんに手を振る。
「さっそくで悪いんだけどサクラちゃんの口の中に僕の指を入れていい?」
「いいよ……」
お仕事の始まりだ。
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